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スタジオ・サニーサイド

札幌を拠点に活動する、ゲームのサウンド&シナリオ制作スタジオです

CASIO SK-100の思い出

雑談 機材 ban

「とびだせ どうぶつの森」を始めましたが、
遊べる時間に店が開いていないので当面テント生活。
こんにちわ。banです。



えーと先々週の続きです。なんだっけ。そうだファミリーコンポーザーだ。
これで長い曲の打ち込みを始めてみたものの、やはり音を取るには鍵盤がないと不便です。
当時唯一家にあった鍵盤としては、小学校の時使っていたピアニカがありましたが、
さすがにそれで音を取るのはちょっとアレだ。色々とまずい。
むさ苦しい高校生がファミコンの画面の前に座り込んでピアニカをプガプガ吹いているというのは、
なんというかこう絵的にアウトです。一生モテる気がしません。


ならば買おう。キーボードを。金ならある!
と、貰ったばかりのお年玉を握りしめてディスカウントショップに突撃です。
当時は欲しい機種のリサーチとかスペックの比較とか、そうした買う前の検討を行うという発想が全くなく、
とにかくナワバリ内の店に突撃して買える範囲のものを買うぜというスタンスでした。
知性も賢さも皆無ですが、やる気と決断力だけは旺盛。始末におえねえ。


とは言え、高校生のお年玉で買える範囲で、
しかもディスカウントストアに置いてあるようなモノですから、
それほど大したものは買えないわけです。結局買ったのはこれ。




CASIO SK-100ちゃん



確か定価は¥25,000くらいじゃなかったか。
ミニ鍵盤、49鍵、12音色、12リズムパターン、8音ポリ。
いわゆるカシオトーンにサンプリング機能がついたキーボードで、
商品ジャンルとしてはトイキーボードですが、音と作りは今から考えるとなかなかマニアックでした。


何より当時はサンプリングという手法がまだ目新しく、専用の機材が数十万〜数百万していた時代です。
そんな中、これの兄弟機であるCASIO SK-1は¥16,000という衝撃的な価格で発売され、
トイキーボードでありながらミュージシャン筋の方々に爆発的に売れたといいます。
ついにはこれをMIDI対応させる改造キットまで出ましたから凄い。


その上位機種であるこのSK-100は、内蔵マイク、および外部入力で2音色を各0.8秒サンプリング可能。
本体メモリーを2個分使って、倍の1.6秒サンプリングも可能でした。
サンプリングした音を、リズムパターンに組み込むこともできます。
8bitで、サンプリング周波数も低く(仕様によれば10.113kHz)、
今から考えればザラザラの音色ですが、それも味っちゃ味。
それに当時はサンプリングできる事だけで楽しめたので、音質なんかどうでもよかったですね。
自分のアホ声、友達のバカ声をサンプリングしてはピッチを替えて大笑いしたり、
それでメロディを弾いてさらに爆笑したりという、まことにモテようのない使い方で遊んでいました。


あと、リズムパターンを自分でプログラミングする機能もありました。
2小節分のループ+1小節分のフィルイン、分解能1/16音符というコンパクトさですが、
これで好きな曲のリズムパターンを片っ端からコピーしまくってました。
2拍4拍にはスネアドラムが入る、とか、キックのパターンでノリが決まる、とか、
リズムの打ち込みの基礎をこれで覚えていきました。フィルインの入れ方とかも。
それに、リズムの音色がチープながら気持ちいいんですね。
キックの、アタックが硬い「ドッ」という音、
スネアのコンプが効いた「ダシッ」という音。これらは今でも大好きです。
後から知りましたがこの音、同じCASIOから出ていたRZ-1というドラムマシンと同じ音ネタでした。


キーボードの音色には、ピアノ、オルガン、ギター、シンセストリングスなどが入ってますが、
アナログシンセっぽい独特のチープさで、生音ではありません。
ネットに落ちてた英語版の取説を見ると、音源方式は非公開。音を聞く限りサンプリングではなさそうです。
雰囲気としては、同時期にCASIOから出ていたPD音源のシンセ、CZ-1の音に似ております。
エディットのできない簡易版PD音源チップを搭載しているのかも知れません。



動作サンプル動画。音が懐かしくて泣けてくる。



元々はファミリーコンポーザーの打ち込み支援として買ったこのキーボードでしたが、
いじっているうちにこっちの方がメインみたいな扱いになって来ました。
好きな曲を真似て弾いているうちに、音楽理論に通じる様々なことが経験的に身に着いていきます。
ド・ミ・ソの和音がCメジャーであること。
コードが弾けなくても、コードのルート音を弾くだけで簡易的な伴奏になること。
(つまり、音楽ではベースというパートがとても重要であること)
音程とキー(調)という概念。
好きな曲のコード解析も自然にやるようになっていきました。
トニック、ドミナントサブドミナントのスリーコードで、ほとんどの曲は伴奏できてしまうということ。
コードは似た機能のものに置き換えられ、それで雰囲気もがらりと変わるということ。
IV→V7→IIIm7→VImという王道コード進行の存在。
メジャーセブンスの響きの浮遊感、マイナーセブンスの響きのオシャレ感、ディミニッシュコードの不安感。


また、リズムパターンのほかに、ベースパターン、コードパターンも組めます。
さらにコード進行を一曲分メモリーできる機能があり、これらを使って好きな曲を再現しようとしてました。
それをカセットに録音して、デッキのミキシング録音機能でさらに音をオーバーダブしようとしたり…。


とにかく使い倒しました。当時のつたない音楽衝動を全部これにぶつけてましたね。若かったな。
こいつで遊び倒したことで、音楽的な基礎体力がヘボいながらも身についていき、
打ち込み音楽への憧れが嵩じて、大学生になるとMIDIの打ち込みに手を染め、音楽理論をかじりだし…。
と、その後いろいろあって今の音屋稼業につながっているわけで、
やっぱ青少年の時期に熱中してたことはそれが何であれ自分の血と肉と骨になっている事だなあ。
と、なんとなくまとまったところで終わります。