スタジオ・サニーサイド

札幌を拠点に活動する、ゲームのサウンド&シナリオ制作スタジオです

シナリオ作業の前準備・前編〜資料(原作)を読め!〜

こんにちは!
前回の記事でban氏が「SEを作る前に脳内で音を鳴らす」と書いていましたが、
メッセージを書くとき、すでに声がついているキャラなら
そのキャラの声で再生しながら書いている加藤です!
(この前振り、後で出てくるので覚えておいてください)


今回はシナリオの作業をする前に、どんな準備をするかというお話です。
まずお話をいただいてお引き受けすることになったら、クライアントさんと打ち合わせをします。
その際に企画書をもらって、ゲームの内容を教えていただきます。
ここまでは作業ともいえない準備なのですが、これ以降、作業っぽくなっていきます。



仕様書を読め!
私の作業はプランニングに首を突っ込んでいることが多いので、
ゲームの仕様書もいただいて仕様も把握します。
というわけで大量の仕様書を読むことになるのですが、
やっぱり、最初からプロジェクトに関わっていたわけではないので
いきなり仕様書を読んでも、完全把握はなかなか難しいです。

そんな時は仕様書を印刷して、紙に赤ペンでメモしながら読むと
比較的頭に入るかな? と思います。
しかしあまりにも仕様書が多い場合はあきらめてPCで読みます。
最終手段としては、担当のプランナーさんに「ここ教えてください…!」と聞きます。
しつこく聞きます。いつもすみません。



●原作を読め! or 前作をプレイしろ!
私の仕事はほぼ「原作(マンガかアニメ)つき」か「前作あり」ですので
資料として原作のマンガを読むか、アニメを見るか、前作ゲームをプレイして
内容を把握するという作業が入ります。

よく知っている作品ならラッキー、ましてや自分が好きな作品であれば大ラッキー。
「任せろ!」という気持ちで大張り切りです。

それでも40巻オーバーのコミックスをドーン!と渡された時は
ちょっと青くなりました。普通に読むのではなく、
キャラクターの性格、背景、口調を把握しながら読むというのは
なかなか時間がかかるものです。


イメージフォト・40冊のマンガ。こう見るとすぐ読めそうですが…。
※実際の仕事とはまったく関係ありません。
周りにはもっと巻数の進んだマンガのゲームを担当した人もいるので
40〜50巻くらいでグダグダ言っていたら怒られそうです。


以下、私が原作を読むときの流れです。
大量のフセンを用意して、読みながら重要そうなシーンのページに
フセンを貼っていきます。
この時、主人公はピンク、サブキャラはブルー、敵は緑など
ジャンルやキャラによってフセンの色を分けて、かつフセンにもメモしておくと
後で「○○(キャラ)が××しているシーンは…」と読み返したい時に便利です。
ちなみに作業が進むと、フセンなんか見なくても
「○○が××しているシーンは、13巻の前の方ッ!」とか
覚えてしまうので人間ってスゴイなと思います。

また同時に、決めゼリフや印象的なセリフはメモしておきます。
私は書いた方が頭に入るタイプなので(というか書かないと頭に入らないので)、
無駄だろっていうくらい原作のセリフを目コピします。

原作アニメを見る時も、リモコン片手に、いいセリフがあったら
止めてメモして、また再生して…という感じでひたすらメモ。
ちなみにうちのブルーレイ再生環境はPS3しかないので
PS3のコントローラでこの作業をするのはすごく面倒くさいです…。


また、まれに「原作が難解」ということがあって悩ましいです。
もともと難しい場合もありますが、連載中の場合、謎も多いわけですよ。
このキャラの真の行動の理由は? なんて
原作者しか知り得ない(原作者にだってまとまってないかもしれない)
ところも考えていかないといけないので、うかうかしていられません。
(もちろん勝手にストーリーを考えたりはしないのですが)

以前、あまりにも主要キャラの複雑な過去や心理が把握できなくて悩んだ私は、
その主要キャラの過去が明らかになる巻を1冊、まるまる音読しました。
「クク…俺の過去…教えてやろう…」
「この秘密を知ったおまえを生かしてはおけぬ…死ねっ!」
など物騒な感じだったんですが(セリフは適当です)、
その時妊娠中だったので、すごい胎教だなぁと思いながら読みました。
もちろん音読したおかげで、嫌でも頭に入ってきました。
皆さんもやってみてください。ちょっと楽しくなってきます。


なお、前作ゲームがある場合、プレイもしますが
前作のシナリオデータを資料としてもらえるので、それを参考にします。


さてそんな感じで資料を読んだり見たりしていくと、
アニメやゲームの場合、キャラの声やしゃべり方も覚え、
冒頭で書いたように「脳内でそのキャラの声を再生できる」ようになります。
ここまでくると、シナリオ(メッセージ)を書けるようになります。


シナリオ作業の前準備はまだ続く!
というわけでまた来週〜。