スタジオ・サニーサイド

札幌を拠点に活動する、ゲームのサウンド&シナリオ制作スタジオです

コンパクトで高音質!MOTU UltraLite AVB

BB-8カワイイですね。こんにちは。banです。

 

 

年末年始に機材のセットアップをやりまして、年明け以降はその慣らし運転と習熟をコツコツ続けておりました。今回買った機材の目玉はコレ。 

 

 

コンピュータから高音質で音を出す機材…いわゆるオーディオインターフェースですね。使ってみて1ヶ月ほど経ったので、使用感など書いてみます。

 

 

 

■良かったところ

 

・高音質

うむ。一番大事な所ですね。スペック的にはサンプリングレート192kHzまでのハイレゾ録再生に対応しているものの、私は業務での使用状況を考えて主に48kHzで運用しています。解像度としてはまあ一般的な感じですね。

 

しかしながら、これがビックリするほど音がいい!以前のオーディオインターフェースMOTU 828という随分古い機種だったこともあるのですが、入れ替え後は音のクリアさに感動。曇りがなく、ノイズもなく、細部までくっきりとして、ひとつひとつの音の分離もいい。耳の膜が一枚剥がれた気分です。試しにコレを通して自分の曲を聴いてみたら、それまでぼやけていたディティールがくっきり判って思わず背筋が伸びましたですね。これは心してかからないと…。

 

 

・省スペース

1Uのハーフラックサイズで、だいたいMac miniとほぼ同じ大きさです。狭い作業場でのセッティングには大変重宝します。また、入出力が多く、アプリで内部ルーティングなどの設定が自在にでき、デジタルミキサー機能も内蔵しているので、入出力数の条件さえ合えばスタンドアロンで立ち上げてミキサーの代わりとして使えます。これで私はMACKIEのアナログミキサーを撤去しました。ミキサーレス!音の経路を短縮した分、出音もいっそうクリアに。

 

また、MIDI入出力も1系統搭載しており、MIDIインターフェースとしても使用できます。昨今はハードウェア音源を扱うことも稀になってきましたし、鍵盤入力用のMIDI INと、手持ちのハード音源をタマに鳴らすときに使うMIDI OUTが各一個あれば十分!というわけで今回思い切って既存のMIDIインターフェース(MOTU MIDI EXPRESS XT)も撤去。

 

これで随分スペースが空き、作業環境がすっきり整理されました。配線のごちゃごちゃも緩和され、必要なコンセントの数もグッと減り、節電もできて家計にも優しい。素晴らしい。

 

・AVB

AVBというイーサネット接続を使用した新しい転送規格を扱えます(要MacOS 10.10以降)。ケーブル一本で512チャンネルのオーディオを同時に転送できるといいますから凄いパイプの太さ。しかも低レイテンシーMacとの接続もイーサネットケーブル一本でOKです(ただしMIDIインターフェースとしても使う場合はUSB2.0での接続も必要)。同じLAN上にあれば他のデバイスからも制御が可能で、対応アプリを入れてiPhoneからオペレーション、なんてこともできました。便利便利。

 

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iPhone5Sから設定画面を閲覧中。インジケーターやレベルメーターもリアルタイムに反応します。

 

 

・WEBブラウザベースの設定、オペレーション

各種設定には、専用のアプリは使用せず、WEBブラウザで立ち上がるWEBアプリを使用します。アプリは本体に内蔵されており、ネットワークを介してブラウザに表示されます。余計なアプリをインストールする手間がなくラクです。ここから内部ルーティングや、内蔵デジタルミキサー部分の制御、各種設定の保存やリコールが行えます。動作も軽快です。

 

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WEBアプリケーションからミキサー部分を閲覧中。

ミキサーはEQ、フィルター、コンプ、ゲート、リバーブなども内蔵しています。

 

 

 

■気になるところ

・設定がちょっとハードル高い

AVBという新しめの規格を使用しているため、これまでのFireWireやUSBベースの接続に慣れていると、だいぶ戸惑うことが多いです。まずWEBブラウザでアプリを立ち上げるまでが一苦労で、取説の通りにやっても上手く行かず、本体のIPアドレスを調べてそれをブラウザに手打ちしてみたらやっとアプリが立ち上がったりとか。また設定のときにちょっとヘマをやったようで、初期設定を壊してしまったらしくMac側がAVBの音声ストリームを認識しなくなったりとか…。

 

この問題ですが、WEBアプリ上で、AVB Stream Setupのところの"Number Of Input/Output Stream"の数を1以上に設定しておかないとダメ、ということでした。要はStreamが0の状態になっているとAVBの信号が発生されないので、 Mac側でも認識のしようがない、というわけですね。

 

f:id:studio_sunny_side:20160204094409p:plain丸囲みのところの設定が、"0 out of 3"になってると音が出ません。

 

また、取説pdfが直訳風味の日本語なので、読みづらく解りにくいのもハードルの高さの一因かと。WEBアプリの方は動作が快適でストレスがありませんが、ルーティングの構成などを把握するにはちょっとユーザーインターフェースがわかりづらい。この辺も詳細な解説があれば解決すると思われるので、今後のサポートやWEB上での記事の充実に期待したいところです。

 

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ルーティングを決めるマトリクス画面。

最初は大項目しか表示されておらず、▶をクリックすることで詳細項目が出現しますが、コレがちょっと解りにくい。

 

 

Macとのクロック同期が不安定

音質は大変いいんですが、AVB接続の場合、Macとのクロック同期が崩れて音がガビガビになることが結構あります。とりあえずAudio MIDI設定を立ち上げて、サンプリング周波数を再設定すると症状は治まりますが、何がトリガーなのかはまだ特定できていません。今のところGoogle Play Musicを聽いているときに良く起こりますが、DP9を立ち上げてソフトウェア音源を弾いていても起こるので、原因はイマイチよく解らず。要調査です。

 

また、それとは別に、音を鳴らしながら新しめのスクリーンセーバーを起動すると激しいグリッチノイズが起きます。特に最近のMac OSに搭載されている画像ライブラリを利用するものが鬼門の模様。”Shell”など、昔からあるやつなら大丈夫です。

 

このようにAVBはまだまだピーキーな感じなので、安定性の面では要注意です。今は様子を見ながら使ってますが、あまり厳しいようだとUSB接続に切り替えるかも知れません。

 

 

 

…その他、メインアウトとスピーカーの間で高周波ノイズが時々乗ったりするのですが、これはどうやら自分の環境の問題っぽいので詳しくは割愛。まあ多少気になる点はあるものの、全体的には作業環境のクオリティをグイと押し上げてくれた感じがあり、投資効果は十分あったな…と遠い目です。気のついたところがあったらまたご報告したいと思います。私からは以上です。