スタジオ・サニーサイド

札幌を拠点に活動する、ゲームのサウンド&シナリオ制作スタジオです

熊出没注意!小説紹介「羆嵐(くまあらし)」

こんにちは!加藤です。
先日、就職セミナー「クリjob」に顔出してセッションで少しお話してきました。
就活生のみなさんがんばってください!(ここまでが挨拶)


さて今回は雑談です。本を紹介しようと思います。
ただオモシロイ本というのもなんなので、北海道に関する本を紹介します。
※怖い話(残酷系)になりますので、苦手な方はご注意ください。
※自分のブログでも話題にしていますので、すでに読んだよ!という方ゴメンナサイ。



今年の札幌は残暑の影響で過ごしやすい日々が続いていましたが
昨日から急激に寒くなりまして、すっかり秋です。
最近全国で熊が出没するというニュースを聞きます。
札幌でも今あちこちでヒグマが出没しておりまして……
そうです、北海道で出る熊といえば、ツキノワグマじゃなくてそれより大きい

羆(ヒグマ)

でございます。

そんなわけで(?)今回ご紹介するのはコチラ↓

羆嵐 (新潮文庫)

羆嵐 (新潮文庫)

吉村昭羆嵐(くまあらし)」です。

この本は、1915(大正4)年に、現在の北海道苫前(とままえ)町で実際に起こった
ヒグマによる日本最大の獣害事件「三毛別(さんけべつ)羆事件」を元にして書かれた小説です。
1頭のヒグマが繰り返し村を襲い、7人(解釈によっては8〜9人)の命が奪われたという
大変凄惨な事件です。
(詳しくはwikipediaの「三毛別羆事件」の項に掲載されていますが、
かなり残酷な内容なので閲覧は本当にご注意ください。今回リンクは貼りません)

前半は、当時の北海道開拓に従事した人の貧しく寒く厳しい生活ぶりと
恐ろしい事件の経緯が語られ、
後半は、あてにならない警察と怯える住民の間に挟まれて苦悩する苫前区長と、
名うてのマタギ「銀じい」の孤独な戦いが描かれます。
文体が硬質かつ淡々としているので、極寒の北海道、ヒグマの恐ろしさ、人々の恐怖と絶望…
といったところがひしひしと感じられ、緊張感に満ちています。


なおこの本を読む前から、この事件のことは知っていまして
旅行で苫前町を訪れた際、事件現場と苫前町郷土資料館に行きました。
事件現場には当時を再現した小屋や、人やヒグマの人形が飾られていて
ちょっとした観光地というか珍スポットになっています。
地元としては観光地にしたいようなのですが、事件のあまりの凄惨さに
観光地化しちゃっていいんだろうかという気持ちも働いて
見ているこっちはまさに「どんな顔したらいいのかわからないの」状態です。

近くには農地が広がり、きれいな道路や、それに沿って点々と民家もあって
怖いどころか想像以上に開けたのどかな場所でしたが、現場周辺だけ舗装されておらず
木々もうっそうとしていて、けっこう怖かったです。
おまけに現場付近で、1本の木にヒグマがたくさん爪研ぎした跡を発見して
震えました…!
木の肌から察するにけっこう昔のもののようでしたが、その爪痕のデカイこと!
こんなのに襲われたらひとたまりもないと実感しました。

その後に行った苫前町郷土資料館で、小説「羆嵐」と、あとこちらの小冊子を購入しました。

「獣害史最大の惨劇 苫前羆事件」木村盛武

のぼりべつクマ牧場が発行した本を、苫前町郷土資料館が復刻したものだそうで、
事件の65年後に、当時の被害者や関係者から聞き取りをして
事件の詳細をまとめたものです。
小説「羆嵐」と、wikipedia三毛別羆事件」を読んで両方とも震え上がりましたが、
正直、一番怖かったのはこの本でした!!
事件のあらまし…何を見たのか、どうなっていたのか、そしてどんな気持ちだったかが
全部細かく書かれていて…昔の本だからか遠慮なく…読んでいて気持ち悪くなってしまいました。




さてそんなわけで、ヒグマ怖い怖いという話をしてまいりましたが、
上記の本の筆者が書いたこちらの本も読みまして↓

「エゾヒグマ百科」木村盛武

ヒグマについてわかったことをザックリまとめますと
●ヒグマ強し。身体能力最強。力強い&足速い。
 明治時代に、ヒグマが札幌の円山から丘珠まで行って2人殺害された「札幌丘珠事件」あり。
●ヒグマの執着心ハンパない。
 一度食べたものの味を忘れられずに、執拗に追う。
 人間の食べ物や、人間そのもの(三毛別のヒグマの場合、人間の女)の味を覚えてしまうとそればかりを追う。
●死んだふりの効果は微妙…。
 上記の本によると「下手に逃げて襲われて殺されるよりは、死んだふりをして
 噛まれたり叩かれたりする方が、大怪我はするけど生き残る可能性はある」という程度らしい。

ということからヒグマには会わないのが一番という結論に達したわけで
結局何が言いたいかというと「札幌に住んでる限り身近な存在なので気をつけよう!」ということでした。





余談ですが、今回「北海道に関する本3冊!」というテーマで書こうと思ったのですが
1冊目で熱く語ってしまい(結局関連書籍で3冊紹介したことに?)、
残り2冊は紹介できませんでした。
ちなみに他に紹介したかった本は
「アイヌの碑」萱野茂
「燃えよ剣」司馬遼太郎
「平岸村」沢田誠一
でした。ってあれ3冊ある!(絞れてない)