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スタジオ・サニーサイド

札幌を拠点に活動する、ゲームのサウンド&シナリオ制作スタジオです

ゲームの音をキレイに盛りつけるためには/「ダッキング」について(1)

便秘にはビール酵母がオススメ。こんにちわ。banです。




さて今週は、ダッキングについて書いてみます。
そもそも、ダッキングとはなんぞや、という話から…。





画像と本文は関係ない…こともない
カモが水に潜るように音量を上げ下げすることからダッキングという名が
ボクシングのダッキングと語源は同じ




曲でも効果音でもいいのですが、ある音が継続して鳴っている場面にて、
ナレーション(以下ナレ)やジングルを被せて鳴らすとします。
このとき、後ろで鳴っている音の音量を一時的に下げる処理のことを、
一般的に「ダッキング」と呼びます。


以前、ジングルの再生処理の話の時に、こんな図を書いて説明しましたが、
これはそのまんまダッキング処理ということができますね。





これすなわちダッキング




これはゲームの音声のみならず、映画やアニメ、ドラマやニュースなど、
音声のミックスが生じるメディアではごく当たり前に行われている操作です。
ではなぜこんな面倒なことをわざわざするのか?理由はちゃんとあります。



1)聞き取り易くする(特にナレーション)


ジングルの時にも書いた通りで、後から乗せる音を聞き取りやすくするために、
バックの音を下げる、というのがまず大きな理由です。
後ろでうるさく曲が流れている上に、そのままジングルを乗せてしまうと、
音楽的にぶつかり合ったり、音量的に聞き取りにくくなったりして、
せっかくのジングル演出が活きてきません。


なにより重要なのが「ナレを聞き取り易くする」という目的です。
ナレは単なる声ではなく、文章、文字と同等か、それ以上の情報を含んだ音声ですから、
その内容が聞き取れなくては、意味がありません。


ナレが聞き取れないと、状況やストーリー展開、キャラクターの心情が受け手に伝わりませんし、
ひいてはコンテンツのテーマや良さも伝わりません。
音声のミックスひとつで、コンテンツそのものの価値が大きく損なわれる可能性があるため、
非常に気を使わねばならない部分です。


例えば映画においては、どんな場面においてもまずナレが聞き取れることが、
ミックスの最優先事項とされています。
5.1チャンネルのサラウンドシステムで、一見不要とも思えるフロントのセンタースピーカーは、
セリフを明確に聞き取れるようにするために用意されている、と言っても過言ではありません。





センタースピーカーはほぼ台詞用




ゲームでもそれは同じ事で、特にストーリー性の高い、RPGやアドベンチャーなどのジャンルでは、
ダッキングを用いてナレを聞き取りやすくすることがとても重要になってきます。



2)音量のレベルを一定に保つ


ダッキングのもう一つの狙いとしては、
曲、効果音、ナレなどが重なって鳴る場面で、全体の音量が過大になってしまわないようにする、
というところもあります。
単純に、いろいろな音が同時にたくさん鳴るとうるさくなっちゃうので、
何らかの音量を下げてそれを緩和。ということですね。
こうすれば、コンテンツ全体を見渡した時に、音量バランスがやたらと凸凹になることもありませんし、
ひいては音量過大で歪みが生じる、といった実害も防げます。



3)音響演出の一環として


例えば、心情的に盛り上がりのあるシーンがあるとします。
語り手が、感情のこもったセリフを言い終わった後に、
追いかけるようにして音楽がぐぐっと盛り上がってくる、というような場面がよくありますが、
これ、単純に音楽が盛り上がる箇所に差し掛かってるだけではなく、
ダッキングが明けて、音楽の音量が元に戻るのを利用し、
より盛り上がるように聴かせていることもあります。
もちろん、元に戻すのみならず、その勢いでグッとボリュームを上げるのもアリです。
演出と絡めてダッキングをうまく利用している、と言えますね。




※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※




このように、単なるボリュームの上げ下げの操作とはいえ、
ダッキングがゲームの演出や中身にまで大きく影響する、ということがお分かりいただけるかと思います。


では、実際にゲームの中でダッキングをうまく使っていくにはどうしたらよいか?
という点が問題になってきます。
これについては、特にナレ再生に話を絞って考えてみたいと思いますが、続きは次回に。