スタジオ・サニーサイド

札幌を拠点に活動する、ゲームのサウンド&シナリオ制作スタジオです

ゲームメッセージの書き方?(さわりだけ)

こんにちは!
長らく続いたお仕事が一段落し、今の気持ちは
開放感2割・寂しさ5割・次どうしよう3割で構成されている加藤です。
仕事はあんまりないのに雑多な用事に追われております。



そんなわけで仕事も一段落したので本でも読もうと、
こんな本を買ってきました!

シナリオの書き方―映画・TV・コミックからゲームまでの創作実践講座

シナリオの書き方―映画・TV・コミックからゲームまでの創作実践講座

お芝居をするための、いわゆるト書きの脚本というものは書いたことがないので
この機会にちょっと触れておこうと思い、読みやすそうなものを探してきました。


こちらの本は、実際にダメなシナリオの例と良い例が並んで紹介されているため
とてもわかりやすく、また説明の文章がきれいで読みやすいです。
脚本の素人としては、改めてシナリオのテクニックを読んでいくと
普段何気なく見ている映像作品のセリフひとつに
いろんな工夫があるのだなあと感心しつつも、
ゲームのシナリオとはずいぶん違うんだなと面白く読んでおります。


例えばお芝居の脚本の場合、セリフで全て言わせるのはNGで、
登場人物の感情はセリフで言わせずなるべく芝居で表現するように、
というくだりがありました。
確かにお芝居で、自分の感情をそのままセリフで言ってしまったら興ざめですね。

しかしゲームの場合は、特別なイベントやムービーでない限り
キャラクターに細やかな専用のお芝居や表情をさせるのは難しいので、
なるべくセリフで感情や状況がわかるようにしなければいけません。
もちろん「怒ってるんだぞ!」なんて直接的に言わせるわけにはいきませんが
かといってわかりにくいと伝わらない。
ゲームだからと言ってストレートすぎるのはどうかというのもありますが
メインのストーリーは誤解なくわかってもらえるようにしたいところです。



話がズレてしまいましたが、この本の基本テクニックの話が大変面白かったので
ゲームシナリオ(ここではキャラクターのメッッセージですね)でも
面白いかなと思いまして、ちょこっとだけお話ししてみようと思います。



例えば村人青年A用に、こういうメッセージを書いたとします。

【村人】
やあ こんにちは!
今日もいい天気だね!

大変無難に見えますが、このメッセージだといくつか問題になる可能性があります。
ゲーム中に昼や夜など時間の流れがあって、このメッセージが昼以外にも出る場合
「こんにちは!」というあいさつはNGになります。
同様に、「いい天気だね!」の部分も夜に聞くとちょっとおかしいですし
ゲーム中に天候が変わる要素があれば、やはりNGになります。
さらに細かく言いますと、ある特殊なイベントで雨が降ったりした場合、
その直後に晴れたとしてもこの村人青年が「今日“も”いい天気だね!」と
言ってしまうと違和感を与えてしまう可能性があります。

と、こんな感じで、実際のゲーム中の状況を考えて
矛盾にならない範囲でメッセージを作成していきます。



またゲームの場合、映像作品とは違ってプレイヤーが自身で
考えて操作しなければいけないため、攻略のヒントとなる部分は
メッセージで明示する必要があります。

【武器屋のオヤジ】※1回目
何?
オレに すりこぎを作れって?
カネがあるなら作ってやってもいいが
ひとつ条件がある
あのウーラの山に生えてる
ムクムクの木じゃねぇとダメなんだ
すりこぎを作ってほしけりゃ
その木を持ってきな!

【武器屋のオヤジ】※2回目以降
すりこぎがほしけりゃ
早く材料を持ってきな!

こちらも無難なメッセージに見えますが、2回目以降の方に問題がありまして
プレイヤーに対するヒントが1回目の方にしかないので、
プレイヤーがこの後何度話しかけてもヒントがもう出なくなってしまいます。
そのため、2回目以降のメッセージの方にも
「作ってくれるアイテム名」と「目的地」と「材料名」を
はっきり言わせた方がいいかと思います。
もし普通に言わせるんじゃつまらない…というのであれば、

【武器屋のおかみさん】※2回目以降
ごめんなさいねえ
うちの人 ガンコなもんだから
あんた 早くウーラの山で
ムクムクの木を取ってらっしゃいな

ヒント部分は他のNPCに振っても面白いかもしれません。
オヤジとおかみさんのキャラがわかりますし。

このあたりはゲームのコンセプトや対象年齢や仕様にもよります。
コンセプトが大人向けの渋いゲームであればヒントの出し過ぎは興ざめですし
反対に全年齢であれば子供でもわかるようにしたいですし
そもそもゲームシステム側で次の目的地を明示しているのであれば
ヒントはそこそこで問題ありません。


と、こんな感じでゲームのメッセージは
文章の良し悪し以外に、全体的なゲーム像を考えながら
書いていく必要があります。



なーんて、改めて言うほどでもない当然のことなんですが
先日、自分の過去作品のプレイ動画を見てたら
けっこうわかりにくいところがあったので、自分自身への戒めとして書いてみました。
この反省を活かしつつ、次の作品にまた取りかかりたいと思います!
と、強引にまとめたところでまた次回お会いしましょう〜(逃げるように)