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スタジオ・サニーサイド

札幌を拠点に活動する、ゲームのサウンド&シナリオ制作スタジオです

ゲームサウンドの容量を減らすには 〜サンプリングレート編〜


とっくりセーターのとっくり部分がかゆい。こんにちは。banです。




前回に続いて、ゲームサウンドの容量削減のために、ということで、
今回は、サウンドファイルのサンプリングレートについて書きます。


と、その前に、サンプリングレート、および量子化ビット数についてカンタンに触れておきます。
まずはこれをご覧あれ。




何の変哲もないモノラル波形ちゃん




量子化ビット数、サンプリングレートとはなんぞや、と問われて、
正確に内容を説明しようとすると、専門的な用語がびゅんびゅん飛び交う事態となるのですが、それは端折って。
ざっくり説明すると、どちらも
「音をデジタル化したときの解像度」
と言うことができます。


一般的な波形(上図参照)ならば、
縦軸(音量)の解像度が量子化ビット数、
横軸(時間)の解像度がサンプリングレート、
というように覚えておけば、とりあえずはオッケー。
この2つのパラメータの解像度を落とすことで、
容量を減らすことができる、というわけですね。



量子化ビット数


いわゆる、8bitとか16bitといった数値ですが、
ゲームのサウンドデータとしては、今のところ16bitが事実上の標準です。
昔のゲーム機(セガサターンとか)では、8bitのサウンドファイルを扱えるものもありましたが、
いま現在はほとんど使われてません。


また、ハイエンドな音楽制作環境では、24bitというハイスペックのものが使われることもありますが、
ゲームのサウンド再生にはそこまでの解像度は必要ないとされることが多く、
ほとんどのケースでは16bitにコンバートされます。


なので、ゲームサウンドの現場では、16bit以外のサウンドファイルを用いるのはかなりのレアケースです。
一般的なゲームであれば、量子化ビット数については
「wavファイルのフォーマットが16bitである」
ということが確認できていれば良いでしょう。というわけでこの項目はさらっと流して次へ。



■サンプリングレート


というわけで今回のメインテーマです。
容量の面からゲームのサウンドデータを考えた場合、この値が深く関係してきます。
というのも、サンプリングレートと容量は正比例するからです。
ということは、ぶっちゃけ容量を半分にしたい!と思えば、
サンプリングレートを半分にしてしまえばよいのです。終わり。


…終わってしまいたい。しかしここで問題となるのは音質です。
前回にも触れたとおりで、「音質は容量に依存」しますから、
単純にサンプリングレートを減らせば、容量は減りますが、音質も道連れになります。


サンプリングレートを落としていくと、高音の方から順次音の成分が失われていきます。
例えば、 CDのサンプリングレートは44.1kHzですが、
これを半分にすると、一気に曇った音になり、
1/4にすると、AMラジオのような激しく篭った音になってしまいます。
これはサンプリングという技術の宿命なので、避けようがありません。


そこで、音質と容量のバランスを探って落とし所を決めたり、
レートを下げつつも音質補正などで出来るだけ聴き映えを良くしたりと、
涙ぐましい努力が行われるわけです。


サウンド素材の制作段階で使われるサンプリングレートは、
CDクオリティの44.1kHzか、それ以上が一般的です。
このままだと確かに音はいいのですが、やはり容量がでかい。入りきらん。
となった場合はやはりサンプリングレートを下げることを考えます。


ではどのくらいに下げるのか。
よく使われるのが、16kHz、24kHz、32kHzといった8の倍数や、
22.05kHz、11.025kHzといった、44.1kHzの1/2、1/4倍の値です。
これにはちゃんとした理由があるのですが、思い出せない話が長くなるので今回はパス。


レートを決める場合は、ただ闇雲に低い数値を使うのではなく、
再生する音のソースや、再生デバイスの種類も考慮せねばなりません。
例えば、携帯ゲーム機で鳴らすのであれば、小さなスピーカーで鳴らすことを踏まえ、
多少丸くなった音でも大丈夫だから24kHzまで下げよう、とか、
ボイスデータであれば、CD並の高音質は必要ないので、22.05kHzまで下げよう、とか、
逆にBGMデータは音質重視で行くからレートは下げても32kHzまで、とか、
いろいろ考えねばなりません。


近年では、プラットフォームを問わず、32kHzというレートを使うことが多かったですね。
このレートは、容量を控えつつも、音の劣化がさほど目立ちません。
容量は、44.1kHzの時と比べて72.5%にまで落ちますから、
音質と容量のバランスが非常に良いと言えます。


これより低いレートになると、音質は目に見えて(というのも変だけど)劣化していきます。
が、容量の都合で泣く泣くレートを下げねばいけない場合もあります。
こういう時は、力技ですが、イコライザーで残存する高音域成分をブーストして、
パッと聴いた感じの篭り感を出来るだけ取り除くという手もあります。
あくまで、緩和することしかできないので、元の音質に戻すことは不可能ですが、
それでも、聴いた感じの印象を多少良くすることはできます。


サンプリングレートを決めるときに気をつけたいのは、
再生側のデバイスやプログラム、ミドルウェアなどが、そのレートをサポートしているかどうかです。
特定のサンプリングレートしかサポートしていない環境もある(かも知れない)ので、
その点は最初に確認しておきましょう。


次回は、「圧縮」についてです。