スタジオ・サニーサイド

札幌を拠点に活動する、ゲームのサウンド&シナリオ制作スタジオです

MACKIEのミキサーの取説を読みながらちょっと考えた件

身体が酸っぱいものを求めてる気がする。こんにちは。banです。



音屋と言えばミキサー、ミキサーといえば音屋というぐらいの代表的な機材。それがミキサーです。
ミキサーとは、まあ一言で言うと、マイクとかシンセとかギターとかレコーダーとか、
たくさんの音のソースを一つにまとめる装置です。


用途やニーズに合わせて、いろんな種類のものが出まわってまして、
ちょっとマイクとギターを混ぜるときに使いたいような数千円のものから、
大規模なスタジオの真ん中にドカンと置くような数千万円のものまで揃ってます。
まあそのあたりは、必要な入力数と音質と己の甲斐性によってピッタリ来るものを探すのが常です。
特に私のような自宅派の場合は、設置スペースも使う入力数も限られてますので、
コンパクトで必要最低限の入力を持つものがよく使われます。


私が使っているのは、MACIKEの1202-VLZ PROです。



オーディオインターフェースの機能はなく、内部にデジタルエフェクトも持っていない、
純然たるアナログのミキサーですね。
ミキサーと言えば、これまでYAMAHAのProMix、O1Vといったデジタルミキサーや、
同じアナログでもSoundcraftやBEHRINGERのものを使ってきたのですが、
最終的にMACKIEに落ち着きました。


今となってはミックスをDAW内で完結するスタイルに行き着いてしまったので、
ミキサー上でフェーダーやEQ、エフェクトを細かくいじることはなくなってしまい、
デジタルミキサーの多機能っぷりは自分には全く無用になってしまいました。でかいし。
で、アナログでちっこくて使い心地のいいやつを求めたら、MACKIEに落ち着いたというわけです。


MACKIEのいいところは、作りの堅牢さ。
ボディは金属製で頑丈ですし、ノブ類もしっとりとした回し心地で、触ってて気持ちが良いのです。
ちょっとぶつけたくらいじゃビクともしませんよ!というアメリカーンなゴツさが頼もしい感じ。
音にも不満はありません。よくMACKIEのミキサーは音が太い、なんて評判を聞きますけど、
個人的にはあまり色付けを感じず(これ大事)、素直でクセも劣化も少ない音だと思います。
とはいえ音質にしっかりした足腰の強さを感じるのはなんでだろう。ボディの堅牢さに印象が引っ張られてるのか?


あ、でも使って5年くらいになりますが、フェーダーがちょっとガリってきたかも。
(ツマミを回すとガリガリとしたノイズが乗る)
まあしかし基本的にフェーダーは動かさないので使うにあたりあまり問題はないのでした。
あと、モニタースピーカーとヘッドホンのボリュームが独立してないのも不便っちゃ不便。


まあこのような細かい不満はあるものの、愛用してます。
あとMACKIEと言えば、取説がフレンドリーというか、アメリカンというか、
独特のノリであふれているのも一部では有名。

ステレオラインインプットそしてステレオAUXリターンは、Mackieの理念(今考えたのですが・・)を示すよい例です。その理念とは「最大の自由と最小の頭痛」すなわち「最小の手間で最大の効果を」です!


こんな感じで文章の端々に"HAHAHA!"という声が聞こえてきそうなアメリカンジョークが盛り込まれており、
取説といえど楽しんでくれよ!イエアー!というサービス精神に溢れていて、
なにかこう胸のあたりが温かい気持ちになります。
さらにそのゆるいジョークを律儀に日本語に訳しているところもまたおかしい。
ついでに取説巻末には同じノリのレコーディング用語集もついてたりして、
これがかなり詳しくてなかなか勉強になります。
いいなあこういう姿勢。お客さん皆トモダチ的な明るさ。
うちの製品にとことん親しんでほしいというフレンドリーさ。


テクニカルなことをきちんと説明しようとすると、こいう取説はえてして退屈なものになりがちですけど、
それをできるだけ判りやすく、親しみやすく、面白く説明しようとするサービス精神が素晴らしい。
なにかこう、自分たちの製品とか、それを使うお客さんとか、
全部ひっくるめて大事にしようとする気概を感じます。
日本の家電の取説なんかだと、やたら分厚いくせに飛ばし読みしたくなるような退屈さで、
なおかつきちんと読んでも判りにくかったりしますからね。
たまにはこんなふうに、積極的に読みたくなる取説があったっていいじゃないですか。


たかが取説の文章ですけど、
それが企業のポリシーとか、スタイルとか、こだわりとか、そういうものを象徴していて、
ひいてはそれが製品の高い質にも反映されている気がしてきます。


日本にもこういうメーカーがあったっていいのにね。


私からは以上です。




取説をジックリ読みたい方はこちらから。↓
MACKIE 1202-VLZ PRO 日本語オーナーズマニュアル
http://www.mackie.com/jp/pdf/1202vlzpro_om_japan.pdf