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スタジオ・サニーサイド

札幌を拠点に活動する、ゲームのサウンド&シナリオ制作スタジオです

鳴かぬなら 自分で鳴くか ホトトギス

パスタじゃなくてスパゲッティと言いたい派です。こんにちわ。banです。



さて今日はマイク収録の話です。
ゲームのサウンド制作の現場でも、マイクを使う場面は意外とあります。
代表的なものが、ナレーション収録、それと効果音収録です。


ゲームの効果音と一口にいっても種類はいろいろとあります。
いわゆる「ピロリン」といった記号音もあれば、
楽器と楽譜で表現できる音楽的効果音や、
シンセで合成した抽象音などありますが、
マイクを使うものといえば、やはり現実音系です。


雨や風の音、動物の鳴き声、車の音、発砲音など、
場面や状況に応じて、ゲームにはありとあらゆる音が必要とされます。
こうした音をゲームに取り入れるため、多くの場合は効果音CDと呼ばれる市販の音源ライブラリを使い、
その膨大な音の中から使えそうなネタを探し、
これを切り貼りしたり重ねたり加工したりして、目的の音を得るわけです。


しかし、時にはライブラリの中に求める音がどうしても見当たらない場合もあります。
つか、そもそも効果音CD自体結構なお値段なので、そんなにポンポン買えませんよ。
そういうときはマイクの出番です。ネタがないなら、録音しちゃえ、という発想ですね。
鳴かぬなら 自分で鳴くか ホトトギス。(ドヤ顔で)


実例。あるゲームで、コインがチャリンと落ちる音が必要になりました。
一応ありもののネタは漁ってみましたが、どうも求めるニュアンスとは違う。
こういう身近な音なら、録音してしまった方がはるかに速いのです。



マイクをカーペットに向け、床上30センチぐらいの位置にセットします。
そして手近にあったブタさん貯金箱の栓を抜き、中身の小銭をジャラジャラーッとマイクの下に撒き散らします。
あとは、DAWを録音状態にして、ヘッドフォンで音をモニターしながら、
チャラリ、チャリン、ジャラリン、ジャララララ、とお好きな感じで小銭とたわむれればOK。
欲しい音のニュアンスを頭に浮かべつつ、近い音が出るようにいろいろな鳴らし方を試します。
ひとしきり小銭をいじったあと、プレイバックして使えそうな箇所を抜き出し、
EQで音色を調整したり、別途作ったシンセ音などと合成したりして、目的の音の完成です。


またあるゲームの場合は、犬の鳴き声が大量に必要になりました。
手持ちのネタには一応犬の鳴き声もありますが、クライアント様からの資料には
「長毛種の犬、長い毛のせいでワフワフというニュアンスの声」
というような音屋泣かせの指定が炸裂しております。こんなのどう考えてもライブラリにはない。


となれば、録るしかありません。
実際に長毛種の犬を探し当て、怪訝な顔をする飼い主にお願いして、
嫌がるワンコの口に毛束を突っ込んでワフワフゆわし、マイクを突きつけてそれを録音、
などということをやっていると時間がかかるわ飼い主が鬼の形相になるわマイクは犬くさくなるわ、
挙句の果てに苦労して収録した音には飼い主が呼んだパトカーの音がパプパプ被ってたりするわ、
というような余りにつらい結果になるであろうことは火を見るより明らかです。


この場合、犬の声を私が演じました。ええ。やりましたよ。
ワフワフだけでなく、ご飯を食べる時の声、悲しげな声、果ては遠吠えまで必要だったので、全部私が演じました。
いい年をしたおっちゃんが真剣な顔面でマイクに向かい、
「わふわふ!わふわふ!」「くうぅ〜ん」「あおーん…いやこれは違う…アフオォーーン」
などと叫んでいる様は見ていてあまり爽やかではありませんが、効果は満点。
ニュアンスばっちりの声ができたので、他の犬の声(本物)にそっと混ぜて提出したところ、
クライアント様には全く気づかれなかったので、こみ上げるしてやったり感を満喫しましたが、なんだろこのちょっと寂しい感じ。


しかしアレだ。自宅でこういう奇声を発して収録していると、
「あそこのお宅から昼間に変な音が聞こえるのよ」
「なんかご主人昼間も家に居るみたいだし」
「一人で犬の鳴きマネしてたわよ」
などと噂されやすまいか(というか全部事実ですが)と躊躇しなくもないのですが、
こっちも仕事なんだよ!と開き直って今後もどしどし変な音を出していきたいと思います。私からは以上です。